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暗号通貨ブームのなか、業界で深刻化する人材難

暗号通貨取引所コインベースの共同創業者であり、かつ、暗号通貨投資企業パラダイム(Paradigm)の共同創業者としてマネージングパートナーを務めている米国の実業家・投資家、フレッド・エールサムは、ブルームバーグとのインタビューで、暗号通貨業界にはインターネットと同等、あるいはこれを上回る規模の雇用を創出する可能性があるとの持論を展開した。

求人サイト、インディードやリンクトインの求人掲示板をちょっと検索するだけで、「ビットコイン」「暗号通貨」「ブロックチェーン」に関連する職種の求人情報が何千と見つかる。ライターのサラ・ブッチャー(Sarah Butcher)は、「eFinancial」に寄稿した記事で、貪欲に新規採用を進めている暗号通貨関連企業を何社か紹介している。

4月にナスダック市場に上場した、米国に本拠をかまえる暗号通貨取引所のコインベースは、HSBCやバークレイズ、JPモルガンなどの投資銀行から人材を引き抜いている。2020年末の時点で、コインベースの従業員は全世界で1249人を数える。さらに今後は「有意義な」採用を進める方針とのことで、現在、全世界で募集中の求人数は183人に達する。そのうち26人は採用担当者だ。

世界最大級の暗号通貨取引所の1つバイナンスを率いるジャオ・チャンポンは以前、金融サービス会社ブルームバーグ・トレードブックで、先物取引向けのソフトウェアを開発していた経歴を持つ。

バイナンスは現在、世界全体で350人以上のポストに関して求人広告を出している。募集しているポストは、ソフトウェア開発者やデータサイエンティストに加え、世界各地で働くコンプライアンスや法務、マーケティング、営業、人材開発のプロフェッショナルなどだ。

バイナンスの最高経営責任者(CEO)を務めるジャオはブルームバーグの取材に対し、「我々は活発に採用を行っている」と認め、「我々はこの業界が前年比で指数関数的な成長を遂げるのを目の当たりにしている。これに対応するために、チームを拡大していく必要がある」と述べた。「我々は雇用に関して、地理的条件を問わず、機会均等の原則を掲げている。結果を出してくれるのであれば、住んでいる場所は問わない」

暗号通貨取引所を運営するBlockchain.comは、「金融をボトムアップで再構築する」とのスローガンを掲げ、「最も使いやすく強力な暗号通貨ウォレット」を擁すると謳っている。

同社は約40人分のポストを募集中で、リモートワークも可能としている。募集されている職種には、低遅延開発者(高頻度取引を行う金融機関に属することが多い)、データサイエンティスト、データアナリスト、クオンツ開発者、トレーダー、さらには合併買収(M&A)に関する業種などが並ぶ。

参照:Forbesより