Canoo(カヌー)は、2017年にロサンゼルスで設立された、EVのスタートアップ企業。しかし、その業態はちょっと特殊だ。EVの生産・販売業ではあるが、世界初、いわゆるサブスクリプション(一定期間の利用に対して料金が発生する方式)で提供していくという。まるで映画配信サービスのNetflixのような利便性を自動車業界にもたらしていく、と意気込む。
しかもCanooには、いわゆるディーラーなどの物理的な販売ネットワークはなく、Canooがユーザーに直接製品を提供、しかも定額制、というまったく新しいビジネスモデルでのEV参入となる。
過日クローズドで発表された初のモデルはその名も「Canoo」、2021年の発売を予定している。パッと見た印象は、トヨタの「e-Plette」やフォルクスワーゲンの「セドリック」のような自動運転用のEVに近い、コロンとしたフォルムのクルマだ。
自動運転はレベル2と決して最上級のパフォーマンスではないが、従来の自動車の形状と機能にとは一線を画す設計となっている。カメラ7台、レーダー5台、そして12台の超音波センサーを用いたその最新機能には、カメラがドライバーの運転中の挙動をモニターし、駐車操作などのアシストのほか、安全な運転中には余計な警告を出さないようにする、というものがあるという。
また、ムダな区画分けやスペースを一切排除することで、ユーザーに優れたユーティリティを提供しているのも大きな特徴だ。コンパクトカーのような小型サイズの見た目に大型SUVのような内部空間が広がり、なんとゆったり7人分のスペースを確保している。これは、独自に開発した自己完結型の「スケートボードプラットフォーム」にバッテリーとドライブトレインを収めることにより、多くのインテリアスペース確保を実現したためだ。
また、すべての座席は家具よりも家具のように感じるように設計されており、後部座席はコの字型の、ほぼソファといってもいい。一方のフロントシートは、ミッドセンチュリーのモダンチェアからインスピレーションを受けて設計されている。
デザイン担当の責任者であるリチャード・キム氏は「自動車にサブスクリプションを適用することで、これまでの自動車への考え方が変わる。車の価格はユーザーの利益によって決まるといっていい。我々はバウハウスの哲学を取り込み、ミニマリズムと機能性を根底に、余計な要素を削ぎ落として『Canoo』を創り上げた。そしてそのアプローチはまた、ユーザーの重要かつ個人的なデバイスであるスマートフォンとのシームレスな接続性に適用する」と語る。
”シームレスな接続”とは、ユーザーのスマートフォンにインストールしたアプリから、自動で車両登録、メンテナンス、保険の管理・支払ができるといった点を指す。
これまで自動車を所有するユーザーは、ディーラーに行き、車両を登録する手続きまでに長い時間を費やしていた。さらには保険、修理メンテナンスなど継続的な面倒に対処してきた。さらには、高齢化などで運転を止めたときには、車両の価値は下落しているという”悪循環”を繰り返してきた。さらに、世界的にECなどの商品輸送や公共交通機関の需要がますます増えている今、Canooは車両の構築、提供、使用の新たな形の構築に挑戦していくという。
現在のCanooは、チームメンバー約400人。さまざまな賞を受賞したこのメンバーたちは、ユニークなユーザーエクスペリエンスのために、ユニークなEVとユニークなビジネスモデルを結びつけていく。
【仕様】
モーター最高出力:300hp
航続距離:約403km (EPA評価)
0-100km/h加速:秒
最高速度:時速約201km(電子的に制限)
バッテリーパックサイズ:80kWh
※DC急速充電28分で80%を充電
寸法と重量:長さ4,421mm×幅1,898mm(ミラー除く)×高さ1,846mm
ホイールベース:2,850mm
座席数:大人7名
車両総重量:2,600kg
無線ソフトウェアアップデート
フロント部分は透過性がある。横に倒したT字型のライトが印象的。ブレーキランプも同様のデザイン。
スケートボードプラットフォーム。
モックアップを見つめるメンバーたち。
運転席。前方奥にディスプレイ表示が見える。
左右とも、ドアはいわゆる観音開きになっている。
参照:IN THE LIFEより