マッチングサイトというと婚活サイト・アプリなどを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
しかし、クラウドソーシング、カーシェアサイト、就活サイトなど、私たちが普段意識せずに活用しているサービスの多くがマッチングサイトです。多彩な分野のビジネスに応用できるマッチングサイトを作りたい、WordPressで手軽に構築したい、そう考える企業担当者の方も少なくないでしょう。
しかし「マッチングサイトは自作できる?」「可能ならば作り方は?」など、さまざまな疑問を感じているかもしれません。そんな企業担当者の方に向け、本記事ではWordPressを活用したマッチングサイトの作り方を紹介するとともに、サービスに応じた最適な構築方法、費用相場などを含むマッチングサイトの基本を解説していきます。
目次この記事の見出し一覧
- マッチングサイトとは?
- マッチングサイトの構築方法
- WordPressを活用したマッチングサイトの作り方
- マッチングサイト構築の費用相場は?
- WordPress × マッチングサイトの注意点
- マッチングサイトを構築する前に!
- まとめ
マッチングサイトとは?
マッチングサイトとは、さまざまなモノ・コトを提供するユーザーと、それにニーズを持つユーザーをマッチングさせるWebサービスです。マッチングサイトを運営する管理者は、それぞれのユーザーを管理してマッチング=仲介するのが役割です。マッチングが成立した際の仲介手数料、提供側ユーザーが支払う月額会費・掲載費用などを収益源にするビジネスモデルが基本です。
ECサイトなどのように商材を仕入れるコストがかからず、在庫を管理・保管する必要もないため、資金が乏しくてもビジネスをスタートできるのがマッチングサービスの特徴です。「Airbnb」「タイムズカーシェア」など、シェアリングエコノミーの高まりとともに多彩なサービスが登場している、注目度の高いビジネスだといえるでしょう。
マッチングサイトの基本機能
資金が乏しくてもビジネスをスタートできるマッチングサービスですが、要となるのは、どちらのユーザーにとっても使いやすい、Webサービスとしての「マッチングサイト」です。
必然的に、ビジネス成功の可否を握るのは、どのようなマッチングサイトを構築するかにかかっているといえるでしょう。それでは、マッチングサイトに必要な最低限の機能とはなんでしょう?エンドユーザーの立場で挙げてみます。
- 新規会員登録・会員情報修正・退会
- ログイン・ログアウト機能
- メッセージの送受信
- メール通知
- 検索機能
- 案件の登録・申し込み
ただし、マッチングサイトが管理者のほかに「提供側」「需要側」ユーザーが存在することを忘れてはなりません。つまり、一般的なWebサービスと異なり、マッチングサイトには3者それぞれが使うための「管理画面・機能」が必要です。
もちろん、マッチングサービスと一言にいってもビジネスモデルはさまざまであり、それに応じてマッチングサイトもいくつかのタイプに分類できます。簡単に解説していきましょう。
プラットフォームタイプ
「提供側」「需要側」のユーザーが直接取引するタイプのサービスでは、プラットフォームタイプのマッチングサイトが主流です。代表的な例では「Airbnb」「メルカリ」「クラウドワークス」などが挙げられるでしょう。
CtoC、CtoB、BtoBを含むさまざまなビジネスモデルが存在し、運営者が直接マッチング=仲介しないのが特徴。ただし、マッチング成立時の手数料が収益源となるため、しっかりとした決済システムを整えておく必要があります。
仲介タイプ
文字通り、ユーザー間の取引を運営者が「仲介」する、仲介タイプのマッチングサイトです。代表的な例としては「レバテックキャリア」「リクルートエージェント」などが挙げられ、専任のエージェントがユーザー同士のマッチングを担当するのが特徴です。
プラットフォームタイプに比べると、仲介者となるエージェントが手厚いサポートを提供する形になるため、取引単価の高い商材・分野に向いているといえるでしょう。
問い合わせタイプ
「需要側」ユーザーの問い合わせに応じ、資料・見積もりなどの「提供側」ユーザーの情報を開示するサービスでは、問い合わせタイプのマッチングサイトが活用されます。ビジネスマッチングサービスである「比較ビズ」は、このタイプの代表的な例として挙げられるでしょう。
不動産・引越しなど幅広い分野で採用されていますが、最低限フォームがあればマッチングサイトを運営できるため、構築コストを抑えたスモールスタートも可能です。
マッチングサイトの構築方法
マッチングサービスのタイプ、サイトに必要な機能が把握できたところで、マッチングサイトの構築方法を紹介していきましょう。どの方法を選んでマッチングサイトを構築すべきかは、サービスのタイプ、サイトの規模・搭載する機能によって変化します。
スクラッチ開発
独自機能を盛り込むことが多いプラットフォームタイプ、会員制のマッチングサイトを構築したい、あるいは多彩な機能を持たせたい、膨大なユーザーを管理する大規模サービスを立ち上げたい、といったニーズがある場合は、制作会社にスクラッチ開発を依頼することになるでしょう。
もっとも自由度の高いマッチングサイト構築手法ですが、もっともコストが高額になるのも事実。スクラッチ開発以外にも、特定のマッチングサービスに最適化されたパッケージ・プラットフォームを用意している制作会社も存在するため、ビジネスモデルによっては依頼を検討するのもいいかもしれません。
制作会社にWordPress構築を依頼
仲介タイプ・問い合わせタイプのマッチングサイトを構築したい、しかし、自作できる知識・スキルがない、充実した機能を盛り込みたいというニーズがあれば、WordPressを活用したマッチングサイト構築を制作会社に依頼するのがベターです。
WordPressというCMSプラットフォームを活用するため、開発コストを抑えられるのがメリット。多彩なテーマをカスタマイズすれば独自性を演出しやすく、機能を追加できる多様なプラグインが利用できるのもポイントです。プラグインを新規開発して独自機能を追加できるのも、制作会社を活用するメリットです。
WordPressでマッチングサイトを自作
シンプルなマッチングサイトを構築したい、しかし、できる限り構築コストは抑えたいというニーズがあるなら、WordPressを活用した自作マッチングサイトにチャレンジしてみるのもひとつの方法です。
開発スキルが必要なカスタマイズを極力抑え、機能を必要最小限に絞り込んだ上で、多種多様なテーマ・プラグインを活用すれば、WordPressでのマッチングサイト構築は決して難しくありません。ビジネスが軌道に乗るかどうかがわからない状況で、開発コストを抑えながらスモールスタートできるのは、自作ならではのメリットだといえるでしょう。
WordPressを活用したマッチングサイトの作り方
それでは、実際にマッチングサイトを作るにはどのような手順が必要なのか?WordPressを活用したマッチングサイトの作り方は、基本的には自作する場合でも、制作会社に依頼する場合でも手順は同じです。
- どのような構造で構築するのか設計
- サーバーの確保
- サービス専用の独自ドメイン取得
- WordPressをインストール
- ページの作成
- テスト・公開
項目ごどに具体的かつ簡潔に紹介していきます。
要件定義・設計
立ち上げたいサービスのビジネスモデルをもとに、マッチングサイトに必要な要件を定義し、WordPressをどのような構造で構築するのか設計していきます。具体的には、コンバージョンとなるユーザーのアクションを想定し、必要な画面、ページの階層構造、管理画面・権限範囲、ユーザーの動線、実装すべき機能などを洗い出します。
必要な機能をどのように実装していくか、データベースをどのように管理していくかなどの設計面はもちろん、サービスローンチ後のデータバックアップ・パッチ適用など、管理面をどうするかに関しても検討しておく必要があるでしょう。
サーバを確保する
WordPressでマッチングサイトを構築するには、実行環境となるサーバが必要です。サービスの規模が大きくなければ、高速かつ堅牢な、月額5,000〜1万円程度のレンタルサーバを選んで活用するといいでしょう。オンプレミスサーバと異なり、インフラ監視の手間が省けるのはレンタルサーバの大きなメリットであり、サービスのよっては無料でSSLを使える場合もあります。
ドメインを取得する
ASPサービスであれば特に必要ではありませんが、独自のWebサービスをWordPressで構築するなら、サービス専用の独自ドメイン取得が必須です。「.com」「.co.jp」「.tokyo」など、ドメインによって費用は異なりますが、数万円の違いが出るようなものではありません。サービスに合わせた適切なドメインを取得しましょう。
WordPressインストール・セットアップ
サーバ・ドメインを確保したら、WordPressをインストールし、要件定義で洗い出した機能を実装するため「テーマ」「プラグイン」をインストールしていきます。上述したように、標準のWordPressにない機能を追加するソフトウェアが「プラグイン」ですが、ホームページのビジュアルを決定付けるテンプレートを「テーマ」と呼びます。
マッチングサイト構築におすすめのWordPressテーマ
「Emanon」・・・ビジネスWebサイトの構築に適した有料テーマ。4種類のCTA(アクションへの誘導ボタン)、1種類のLPを設置できる9,800円の「Pro」から、レイアウト・CTA・LP機能を拡張した「Premium」までラインナップされており、複数のドメイン・サーバでの利用も可能です。
「SANGO」・・・Googleのマテリアルデザインを採用した、100%レスポンシブ対応の有料テーマ。内部SEOが施され、HTML / CSSアニメーションを実装するなど、ユーザーフレンドリーを重視した心地よさを追求したテーマです。
マッチングサイト構築におすすめのWordPressプラグイン
「Ultimate Member」・・・WordPressに会員機能を追加する無料プラグイン。新規登録、ログイン・アウト、メンバー検索などが可能になるほか、有料版ならメンバー間メッセージ、フォロー機能、ソーシャルログイン機能も使えます。
「WP User Frontend」・・・ユーザーがログインせずに投稿できる機能を搭載した無料プラグイン。自在なフォーム作成・管理が可能なほか、購読システムを導入できる有料版も用意されています。
「BuddyPress」・・・WordPressに掲示板機能を追加できるプラグイン。ソーシャル機能も追加できるため、WordPressを簡易的なSNSのように構築するのも可能です。
WordPressページを制作
要件定義に従った階層で、それぞれのWordPressページを制作していきます。一般的には会社概要、トップページ、登録ページなど静的に表示される「固定ページ」、ブログや各種お知らせを表示する「投稿ページ」、データベースから自動生成される「カスタム投稿ページ」などがあります。
利用するユーザーの動線も考えながら、適切なページを階層に沿って構成していきます。もちろん、マッチングサイトで表示されるべき写真・画像なども用意し、ページに配置していく必要もあるでしょう。
テスト・公開
構築されたマッチングサイトが問題なく動作するか?テストを繰り返し、公開できる準備が整ったら「ドメイン設定」を済ませて公開します。マッチングサイトの成長や改善に役立てるため、アクセス解析の設定をしておくのがおすすめです。
マッチングサイト構築の費用相場は?
オープンソースであるWordPressは、それ自体を無償で使える大きなメリットがあるほか、サイト構築するのに特別なプログラミング知識を必要としません。しかし、インターネットやアプリケーションの構造・仕組みを理解している必要があるなど、WordPressでサイト構築するにはある程度のITリテラシーが必要なのも事実です。
マッチングサイトを自作する「自分自身の人件費」を除けば、サーバ・ドメインの維持費、プラグイン・テーマの購入費用だけで済むのがWordPressのコストメリットですが、ここまでの解説で「自作は難しいかも」と感じた方もいるかもしれません。そこで以下からは、マッチングサイトを制作会社に外注した場合の費用相場を簡単に紹介しておきましょう。
ケース1:制作会社でスクラッチ開発
プラットフォームタイプのマッチングサイトを構築するには、スクラッチ開発が適切だと紹介しました。それでは、必須の機能に絞ったプラットフォームマッチングサイトをスクラッチ開発したらどのくらいの費用感なのでしょう?
一般的な中規模開発会社に依頼すると想定すれば、おおよそ200〜300万円程度といったところが費用相場となり、納期は2〜3ケ月程度かかると見ておけばいいでしょう。
もちろん、決済機能やレコメンド・ランキング機能など、追加機能が増えればそれだけ開発費用は高額になります。これは、独自のマッチングサイトパッケージ・プラットフォームを持つ制作会社でも同様です。
ケース2:制作会社でWordPress構築
WordPressを活用したマッチングサイト構築を制作会社に依頼した場合、開発コストを省ける分だけ、スクラッチ開発よりも費用相場を抑えられます。必須の機能に絞り込んだマッチングサイトをWordPressで構築するなら、費用相場は、おおよそ50〜150万円の範囲に収められると考えられます。
スクラッチ開発と同様、機能を増やせばそれだけ費用相場は高くなりますが、プラグインで追加できる機能であれば、スクラッチ開発ほど費用が膨らむことはないでしょう。WordPressでホームページを作る際の費用・料金相場で詳しく紹介しています。
WordPress × マッチングサイトの注意点
制作会社に依頼するほどの予算が確保できない、といった企業担当者の方であれば、時間をかけてWordPressを理解し、地道にマッチングサイトを構築する方法を選択したいかもしれません。その際の注意しておきたい点を簡単に紹介しておきます。
カスタマイズには知識・スキルが必要
WordPressは、テーマ・プラグインを活用して、比較的簡単に機能追加・ビジュアルカスタマイズできるのがメリットです。しかし、テーマ・プラグインの範囲以外のことをやろうとすれば、当然のことながら専門知識・スキルが必要になります。
たとえば、テーマを活用すればページレイアウトや機能・ビジュアルをある程度カスタマイズできますが、それ以上のレイアウト変更・ビジュアルカスタマイズにはHTML / CSS / PHPのコーディング・プログラミングスキルが必要です。プラグインの機能をカスタマイズするにも、PHPスキルが欠かせません。自由度が制限されがちなことは覚えておくべきです。
セキュリティの確保に注意!
世界でもっとも活用されているCMS「WordPress」は、その分だけハッカーの標的にされやすい弱点を持っています。特にWordPressの管理画面は、URLがデフォルトのままだと、すぐにハックされてしまう危険があります。
神経質になりすぎる必要はありませんが、適切な処置、セキュリティ関連のプラグイン導入、アップデートパッチの適用を忘れないなど、セキュリティの確保には充分注意する必要があります。
WordPressが向いていないサービスも
プラットフォームタイプのマッチングサイトにはスクラッチ開発が適しているなど、WordPressがすべてにおいて万能なわけではありません。構築したいサイトによって向き・不向きがあるWordPressですが、実は会員制のマッチングサイトもあまり向いているとはいえないのです。
優秀なプラグインが日々開発されているため、状況が変化す場合もありますが、会員制マッチングサイトに必要な機能を持つWordPressプラグインは意外に少ないのです。プラグインを新規開発したため、開発費用が膨れ上がってしまった、というケースもあります。
マッチングサイトを構築する前に!
ここまでで、WordPressを軸にしたマッチングサイト構築の基本を紹介してきました。
しかし、記事冒頭でも紹介したように、マッチングサイトはあくまでもビジネスの要となる「ツール」に過ぎません。マッチングサイトの構築に取りかかる前に、まずは入念な準備をしておく必要があるでしょう。
企画・リサーチ
マッチングサイトを構築したいと考えている方なら、マッチングサービスのアイデアをひらめいたはずです。そのアイデア・企画をブラッシュアップすると同時に、競合のリサーチをしておくべきでしょう。
アイデア・企画が本当に「多くの人々が抱えている悩みを解決するのか?」を深掘りするのはもちろん、それを実現させるために、どのような方法がベストなのかを考え、ビジネスモデルとして固めていくのが重要です。
また、素晴らしい企画だったとしても、競合がすでに存在している場合もあります。競合に対抗できる策があるのか?そうでなければ、バッティングしない方法はあるか?などを検討するためにもリサーチが必要です。
ビジネスモデルは「薄利多売」か「高付加価値」か
ブラッシュアップして固めたビジネスモデルは「薄利多売」なのか「高付加価値」なのか、しっかり見極めて次のステップに進むのが重要です。薄利多売か高付加価値かで、適切なマッチングサイト構築方法が異なるからです。
薄利多売のビジネスモデルはプラットフォームタイプに多く、高付加価値は仲介・問い合わせタイプに多く見られる特徴です。スクラッチ開発が向いているプラットフォームタイプなら、マッチングサイト構築費用を第一に考える必要があるでしょう。
一方、仲介・問い合わせタイプはWordPressで対応できますが、エージェントに代表される「仲介者」が必要です。こちらは費用はもちろん、スタッフを含めた体制構築も考えなければなりません。
スモールスタートで成長に合わせて機能拡張する
特にプラットフォームタイプのビジネスモデルにいえることですが、高額な費用をかけてマッチングサイトを構築しても需要がなかった、ということはあり得ます。最初から完璧なマッチングサイトを構築しようとは思わず、最小限の機能でスモールスタートするのが得策です。ユーザー数が増えてビジネスが順調に回るようになれば、ユーザーの声を反映した機能拡張をしっかり実行し、さらにユーザーの利便性を高められるでしょう。
まとめ
WordPressを活用したマッチングサイトの作り方を中心に、サービスに応じた構築方法、外注した場合の開発費用相場などを紹介してきました。
ビジネス展開したいサービスによっては、マッチングサイト構築手法としてWordPressは最適な選択になり得ますが、すべてにおいてWordPressが万能なわけではありません。IT知識・スキルに乏しければ、自由度が制限されてしまうのも事実です。
重要なことは、適材適所で最適な構築方法を選択し、できない領域に対しては制作会社の協力を仰ぐことです。
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