海外トピック・トレンド

Googleは約1兆6500億円を「Safariのデフォルト検索エンジン」の立場を守るためAppleに支払う可能性

検索エンジンにとって「ブラウザのデフォルト検索エンジン」に採用されることは、収益を上げる上で大きなアドバンテージとなります。GoogleはiPhone・iPad・MacなどのApple製デバイスで使用されるSafariのデフォルト検索エンジンであり続けるため、2021年だけで150億ドル(約1兆6500億円)をAppleに支払う可能性があると報じられています。

Bernstein says Google’s FY21 payments to Apple might reach nearly $15B | Philip Elmer‑DeWitt
https://www.ped30.com/2021/08/25/apple-google-payments-15b/

Analysts: Google to pay Apple $15 billion to remain default Safari search engine in 2021 – 9to5Mac
https://9to5mac.com/2021/08/25/analysts-google-to-pay-apple-15-billion-to-remain-default-safari-search-engine-in-2021/

ユーザーがGoogle検索Microsoft BingYahoo! Searchなどの検索エンジンを使う場合、多くがウェブブラウザを経由しています。そのため、Googleは自社製ブラウザのChromeでGoogle検索を、MicrosoftはEdgeでBingを採用しているほか、DuckDuckGoはブラウザとして使用できるデスクトップ版アプリのリリースを予定しています

また、Appleが開発してiPhoneやiPad、Macなどで使用されるブラウザとして大きなシェアを誇るSafariには、長年Google検索がデフォルトの検索エンジンとして搭載されています。Googleは無償でSafariのデフォルト検索エンジンとなっているのではなく、Appleにばく大な契約金を支払っていることが知られており、その額は年々増加しているとのこと。たとえば、2014年時点での契約料は10億ドル(約1100億円)でしたが、2017年には「年間で30億ドル(約3300億円)」と予測されており……

2018年には「推定90億ドル(約1兆円)以上になるだろう」と報じられています。

そして新たに、世界有数の資産運用企業であるアライアンス・バーンスタインでアナリストを務めるToni Sacconaghi氏が、投資家向けの報告書内で「Googleが2020年度にAppleへ支払った契約金は100億ドル(約1兆1000億円)と推定され、2021年度には150億ドル(約1兆6500億円)に達する可能性がある」と述べたことが明らかとなりました。Sacconaghi氏によると、この150億ドルという金額はAppleの2021年度売上総利益(粗利益)の9%に達する見込みです。



GoogleがAppleにばく大な契約金を支払ってSafariのデフォルト検索エンジンになっていることについて、Sacconaghi氏はいくつかのリスクがあると指摘。予想されるリスクは以下の通りとなっています。

1:政府による規制が行われるリスク
Safariのデフォルト検索エンジンという立場をGoogleが維持し続けることが問題視され、政府機関による規制が行われるシナリオは現実にあり得ます。規制が行われた場合、Appleは粗利益の4~5%を失う可能性がありますが、実際に規制が起きるとしたら数年先のことだろうと予想されています。

2:Googleが契約金の支払いを止めるリスク
Sacconaghi氏は、MicrosoftがBingをSafariのデフォルト検索エンジンとすることを狙っているため、GoogleがAppleに支払う契約金が年々高くなっている可能性が高いと指摘。しかし、このまま契約金が上昇し続けた場合、Googleが契約の再検討を行う可能性もあるとのことです。


AppleがSafariのデフォルト検索エンジンとしてプライバシー保護に力を入れているDuckDuckGoではなく、Google検索を採用していることについては批判の声もあります。これに対し、Appleの最高プライバシー責任者であるJane Horvath氏は2021年1月のインタビューで、「今のところGoogleは最も人気のある検索エンジンです。私たちはGoogleだけでなくDuckDuckGoのサポートも組み込んでおり、最近ではEcosiaのサポートも始めました」と述べました。



なお、近年ではGoogleに対する独占禁止法違反の疑いが強まっていることを受け、Appleが自社製検索エンジンの開発を進めているとも報道されています。