ビットコインに代表される仮想通貨のニュースを見ているときに、よく目にするのが「ブロックチェーン」という言葉です。
ブロックチェーンは、仮想通貨というバーチャルなお金を運用するための仕組みの一部で、仮想通貨を支える重要な技術です。
もともとはビットコインのシステムとして構築されましたが、メリットが多いことから他分野での活用も注目されています。
今回は、ブロックチェーンの基礎知識や特徴、メリットについてわかりやすくご紹介します。
目次
- 1. ブロックチェーンの基礎知識
- 2. ブロックチェーンの特徴
- 3. ブロックチェーンの種類
- 4. ブロックチェーンのメリット
- 5. ブロックチェーンのデメリット
- 6. ブロックチェーンの活用事例
- 7. ブロックチェーンは世界が注目する革新的な技術
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ブロックチェーンの基礎知識
ブロックチェーンの紹介をする前に、ビットコインについて簡単に紹介しておきましょう。
ビットコインとは、2008年に誕生した仮想通貨(実体を持たないネット上て使われるお金)のことです。「サトシ・ナカモト」と呼ばれる匿名の人物が、インターネット上に投稿した論文から開発された通貨として知られています。価値の高騰(または暴落)がニュースとして報じられる機会も多く、「なんとなく名前を聞いたことがある」という方も少なくないでしょう。令和の現在でも、ビットコインは価値の変動を繰り返しながら、世界中の投資家の間で取引が行われています。
端的にいえば、この「ビットコインに使われている技術」のこそが、ブロックチェーンなのです。
ブロックチェーンとは「分散型台帳技術」を指し、一箇所ではなく分散型のコンピュータネットワークに、取引の最初から最後までのすべての順序を記録するものです。ブロックチェーンが登場する以前は、中央集権型の情報管理が主流でした。中央集権型の情報管理とは、取引データを一箇所のデータベースにそのまま保存しているだけのシステムです。
ブロックチェーンの仕組みは、まず取引処理が実行されるとその記録(トランザクション)が残ります。複数のトランザクションは一定の大きさである1つのブロック単位にまとめられ、その時点で存在する最後のブロックの後につなげて保存されます。これを繰り返すことで、トランザクションの集合であるブロックが前後につながり、チェーン(鎖)のように時系列でまとまります。
トランザクションがまとまったブロックチェーンのデータは、一箇所にまとまっているのではなく、同じデータが複数の分散型コンピュータネットワークすべてに保存されていきます。
ブロックチェーンの特徴
ブロックチェーンは、従来の中央集権型の仕組みと比べて、どのような違いがあるのでしょうか。ブロックチェーンの特徴を見ておきましょう。
●特定の管理者やサーバに依存しない
ブロックチェーンは分散型のネットワークにデータをそれぞれ管理し、複数の端末間で通信を行うP2Pテクノロジーのネットワークで構成されています。P2Pに参加するコンピュータは「ノード」とも呼ばれます。
ビットコインでは、一箇所にシステムを置くのではなく、ユーザー同士でシステムを管理しあう構造になっています。そのため、特定の管理者やサーバに依存することがなく、1つのノードが壊れたからといって、ブロックチェーン技術を活用するビットコインの取引が停止するようなことはありません。
●壊すことがほぼ不可能なネットワーク
ブロックチェーンは一部のデータが削除されても、そのほかのノードに同一のデータが保存されているため復旧が可能です。ブロックチェーンを完全に止めるには、データを共有するすべてのノードを同時に壊さなければなりません。そのため、事実上、ブロックチェーンのネットワークを破壊することは不可能といえます。
●ハッシュ関数でデータをチェーン状につなげている
ブロックチェーンのデータには、ハッシュ関数が利用されています。ハッシュ関数とは、基となるデータから不規則な文字列(ハッシュ値)を生成する関数です。ハッシュ関数は、生成されたハッシュ値から、基のデータを読み取ることができません。つまり、不可逆性を持つというのが大きな特徴です。
ブロックチェーンでは、前のブロックのハッシュ関数が、次のブロックに含まれています。これを繰り返すことでデータをチェーンのように連結させています。
ブロックチェーンの種類
種類 | 大まかな概要 | 主な用途 |
---|---|---|
パブリック型 | 管理者が存在せずに誰でも参加できる。 | 仮想通貨 |
プライベート型 | 1つの企業が管理の権限を持ち、参加に管理者の許可が必要となる。 | 銀行間の取引や証券取引など |
コンソーシアム型 | 複数の企業が管理の権限を持ち、参加に管理者の許可が必要となる。 | 銀行間の取引や証券取引など |
ひとくちにブロックチェーンといっても、パブリック型、プライベート型、コンソーシアム型の3種類に分かれます。それぞれの違いは図の通りですが、端的にいえば「管理者の有無」によってブロックチェーンの種類が分かれる仕組みです。とりわけビットコインのような仮想通貨においては、主にパブリック型のブロックチェーンが用いられます。
一方、プライベート型とコンソーシアム型は、銀行同士が行う取引や会社の従業員だけが使う業務管理システムのように、「特定の人だけが使うシステム」または「参加者の選別が必要なシステム」などの利用が想定されています。種類ごとに情報の透明性や処理速度などが異なりますが、単純に「ブロックチェーン」というと、「パブリック型」を指すケースが多くなっています。
ブロックチェーンのメリット
ビットコインのためのシステムだったブロックチェーンが、広く活用されるようになっています。このように急成長した理由は、ブロックチェーンに大きなメリットがあるためです。
●データの書き換えや改ざんがほぼ不可能
ハッシュ関数によって実現しているブロックチェーンは、少しでもデータが変わればまったく異なるハッシュ値が生成されます。実際にデータが変更された場合には、対象のデータ箇所以降のブロックが変更され、分散されているコンピュータすべてが更新されるので、悪意のある改ざんが行われた場合にはすぐに気づくことができます。
●システム障害やハッキングに強い
ブロックチェーンは、分散型のネットワークにデータをそれぞれ管理していることが特徴です。中央集権型のシステムでは、一箇所のコンピュータが停止してしまうとシステムがダウンし、稼働が停止してしまうことがありますが、ブロックチェーンの場合はデータが分散しているため、システム障害や一部のノードが停止しても稼働し続けます。
また、ブロックチェーン(パブリック型)は、データを管理している特定の機関が存在しません。権限が一箇所に集中していないので、ハッキングする場合には分散されたすべてのノードのデータにアクセスしなければいけません。そのため、外部からのハッキングに強いシステムといえます。
●取引コストが安い
ブロックチェーンを利用した仮想通貨の場合、特定の金融機関を介さないため手数料などのコストが安いことも大きなメリットです。一般的に、海外に現金を送金する場合には、多額の手数料が必要になります。しかし、ブロックチェーンを活用した仮想通貨を海外へ送金するのであれば、銀行を通さずにユーザー同士が直接送金できるため、最小限の手数料で済みます。
ブロックチェーンのデメリット
コストの安さやセキュリティ性の高さなどの点から、優れたシステムとして急成長を遂げる一方、ブロックチェーンには相応のデメリットも存在します。
●処理速度が遅いため取引に時間がかかる
ブロックチェーンは、蓄積されるデータが膨大な量になりやすく、取引の処理に時間がかかりがちです。具体的にいえば、ビットコインの取引を1回行うのに約10分の時間が必要となります。仮想通貨によっては処理速度や取引速度を向上させる取り組みを行っていますが、金融や証券のように「リアルタイムな取引」が求められやすいケースにおいては、ブロックチェーンは不向きといえるでしょう。
●記録されたデータを削除できない
ブロックチェーンの「データの書き換えができない」メリットは、裏を返せば「書き込んだデータを削除できない」というデメリットにつながります。うっかり個人情報を書き込んだり、アドレスを間違えて送金したりしてしまった場合は、処理のやり直しや取り消しができません。ブロックチェーンを使用する際は、「すべての情報が記録される」ということを念頭に置き、注意しながら使う必要があります。
上記のような、メリットとデメリットを抱えているブロックチェーンですが、仮想通貨を支える基盤技術として発展した現代では、多くの事業で活用されています。
ブロックチェーンの活用事例
幅広い分野に活用されているブロックチェーン。実際にどのように活用されているのか、仮想通貨以外の具体的な活用事例を3つご紹介します。
●Mojaloop(モジャループ)
「Mojaloop」はマイクロソフト創業者であるビル・ゲイツ氏が立ち上げたビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団と、仮想通貨の1つであるリップルが提携するオープンソース形式のペイメント・プラットフォームです。世界中の貧しい人々を対象としたプラットフォームで、銀行口座やクレジットカードを持つことができない人でもアプリで安全にお金を保管し、支払いができるというサービスです。
●Walmart(ウォルマート)
米国に本社を置く世界最大のスーパーマーケットチェーン「Walmart」は、食品管理にブロックチェーンを活用しています。豚肉とパッケージ商品の流通経路にブロックチェーンが試験導入されており、どこの国で、誰が、いつ生産し、それがどのような経路を通って店頭に並べられているのかがブロックチェーン上にすべて記録されています。例えば、特定の商品に傷や汚れなどの不都合が見つかった場合、それがいつどこで発生したのかをすぐに特定できます。いつでも生産情報が読み取れるので、さらに食の安全が高まると期待されています。
●エストニアのインフラ設備
エストニアは、北ヨーロッパにある人口130万人程度の小さな国ですが、IT先進国として知られています。多くの人が利用しているSkypeもエストニアで開発されました。エストニアは国家レベルでブロックチェーンを活用する初めての国で、課税システムや登記、医療記録などのインフラ部分にブロックチェーンが使用されています。
先に挙げた、課税や医療記録などをブロックチェーンで管理することの発展形として、身分証明に利用することも計画されています。管理された戸籍やマイナンバーと生体認証システムを紐づけて、本人確認や身分証明を円滑に行う仕組みです。現代では「すべての人にIDを提供する」ことを目標として、国連のプロジェクトも進行しています。
このほかにも、「ブランド品の真贋判別」や「音楽や映画の著作権管理」、「契約の自動実行(スマートコントラクト)」など、様々な用途にブロックチェーンの活用が検討されています。
ブロックチェーンは世界が注目する革新的な技術
ブロックチェーン・テクノロジーの誕生によって、これまで紙ベースで行っていたすべての契約は、ブロックチェーンでの契約に置き換えることが可能です。
ほぼ永続的に維持可能なブロックチェーンの仕組みは、仮想通貨を中心に、商品取引やインフラなど当初想定されていなかった幅広い分野へ導入が進んでいます。
急成長したブロックチェーンの技術は、企業の決済サービスの運用など将来さまざまなサービスに大きなメリットをもたらすでしょう。
自社でサービスを本格導入する前にブロックチェーンの仕組みや特徴について理解を深めておくことをおすすめします。
参照:発注ラウンジより