NFT(ノンファンジブル・トークン)は、販売額が昨年から55%増加し、3億8900万ドル(約424億円)に達した。2021年に最も注目を集めるデジタル資産の1つになっている。この記事では、人気のNFTの作り方と購入方法、販売の仕方を紹介しよう。
コレクション用の固有の暗号資産であるノン・ファンジブル・トークン(NFT)は、ビットコインのカラードコイン(Colored Coins)というコンセプトが最初に登場した2012年には存在していた。
カラードコインというのは、コインと実世界の資産をつなげる固有の情報で、例えば「このサトシ(ビットコインの最小単位)は誰々のニューヨークのオフィスビルを表す」といった情報の付いた、「色付き」サトシであった。
しかし、カラードコインはビットコインのブロックチェーン上に作られたピアツーピア取引プラットフォーム「カウンターパーティー(Counterparty)」で、「Rare Pepe」のデジタルカードといった作品を作成、取引するために使われていた。
インターネット・ミーム(ネット上で話題となり、拡散した画像など)から転用された、マンガのカエルの画像の「Rare Pepe」は、暗号資産トークンとひも付けられた固有のデジタル作品の初期のものの一部である。
これらによって、独自のNFTを開発者が作れるようにする一連のブロックチェーン上の基礎的要素である、新しいノン・ファンジブル・トークン規格の考案と作成に向けた道が開かれた。
NFTとして使えるもの
NFTは、以下のものを含めて、ほぼあらゆる種類の実在のアイテムや、無形のアイテムを表すのに使うことができる。
・芸術作品
・ビデオゲーム内のバーチャルアイテム(スキン、バーチャル通貨、武器、アバターなど)
・音楽
・コレクション品(デジタルトレーディングカードなど)
・不動産から車、競走馬、デザイナースニーカーに至るまで、トークン化された実世界の資産
・バーチャルの土地
・スポーツにおける象徴的な瞬間の動画
NFTを作ってみる
GIFであれ画像であれ、独自のNFT作品を作ることは比較的シンプルなプロセスだ。暗号資産についての広範な知識は必要ない。NFT作品は、デジタルカードセットといったコレクション品を作ることにも使うことができる。
作成に取りかかる前に、どのブロックチェーンでNFTを発行したいかを決める必要がある。現在はイーサリアムが、NFT発行においてトップのブロックチェーンサービスとなっている。しかし、以下のものを含めて、他にも様々なブロックチェーンの人気は高まっている。
・バイナンス・スマート・チェーン(Binance Smart Chain)
・ダッパー・ラボ(Dapper Labs)のフロー(Flow)
・トロン(Tron)
・EOS
・ポルカドット(Polkadot)
・テゾス(Tezos)
・コスモス(Cosmos)
・WAX
ブロックチェーンには、それぞれのNFTトークン規格と、対応するウォレットサービス、マーケットプレースがある。例えば、バイナンス・スマート・チェーンでNFTを作るとしたら、バイナンス・スマート・チェーンに対応したプラットフォームでのみ販売することが可能になる。
つまり、フローのブロックチェーンベースのマーケットプレースであるVIV3や、イーサリアムベースのNFTマーケットプレース「オープンシー(OpenSea)」のような場所ではそのNFTを販売できないということになる。
イーサリアムのNFTエコシステム
イーサリアムは最大のNFTエコシステムを展開している。イーサリアムブロックチェーン上でNFT作品音や楽、動画を作るために必要なものを紹介しよう。
イーサリアムウォレットは、メタマスク(MetaMask)やトラスト・ウォレット(Trust Wallet)、コインベース・ウォレット(Coinbase Wallet)などの「ERC-721」と呼ばれるNFTトークン規格に対応している。
コインベースのウォレットを使っているなら、米ドルや英ポンドなどの法定通貨でイーサ(ETH)を購入できる。そうでなければ、暗号資産取引所からイーサを買う必要がある。
これらの準備が整ったら、ウォレットをつなげていく。NFTにしたい画像やファイルをアップロードするためのプラットフォームは今では数多くある。
主要なイーサリアムNFTマーケットプレースには以下のようなものがある。
・オープンシー(OpenSea)
・ラリブル(Rarible)
・ミンタブル(Mintable)
マーケットプレースでも独自のNFTを作成できるが、事前に登録して、プラットフォームでリストに掲載されたアーティストになる必要がある場合がある。
NFTの作成に必要なコスト
オープンシーでNFTを作る場合は費用はかからないが、手数料を課すプラットフォームもある。イーサリアムベースのプラットフォームでは、この手数料は「ガス代」と呼ばれる。
イーサリアムのガス代とは、この場合にはマーケットプレースに新しいNFTを追加するなどの際、ブロックチェーン上で特定の機能を実行するのに必要なイーサのことだ。ガス代はネットワークの混雑状態によって変動する。ネットワーク上で価値を取引している人の数が多ければ多いほど、ガス代は高くなり、逆もまた同様だ。
重要なアドバイス:イーサリアムのガス代は平均的に、ネットワーク上で取引を行う人が少ない週末に低下する。複数のNFTを出品する場合には、週末を利用することでコストを下げることができるだろう。
NFTの販売方法
イーサやその他のERC-20トークンは、NFTの販売に使える最も一般的な暗号資産だが、基盤になっているブロックチェーンのネイティブトークンにのみ対応するプラットフォームもある。例えば、フローのブロックチェーンマーケットプレースである「VIV3」は、FLOWトークンだけに対応している。
オープンシーには、ロイヤリティをプログラミングで含めたり、NFTに対する対価として受け取りたいERC-20トークンを選ぶオプション機能がある。ロイヤリティを設定すると、新しい人物に資産が販売されるたびに、NFT作成者が報酬を受け取ることができる。
ここには、スマートコントラクトによって、アーティストやその他のコンテンツクリエーターが生涯にわたって受動的収入を得る流れを生み出す可能性が秘められている。
マーケットプレースでNFTを出品する際、プロセス完了のために手数料が発生する場合がある。すべてのプラットフォームでそうなっている訳ではないが、NFTを作成する場合には心に留めておきたい事項だ。
NFTの購入方法
NFTの購入を進める前に、考慮すべきことが4つある。
・どのマーケットプレースでNFTを買うか?
・プラットフォームとつなげてNFTを購入するために、どのウォレットをダウンロードする必要があるのか?
・購入を完了させるために、ウォレットにはどの暗号資産を入れておく必要があるのか?
・購入を希望するNFTは、特定の時間で販売されているか?
特定のNFTは特定のプラットフォームでのみ購入可能だ。例えば、NBA(全米プロバスケットボール)トップ・ショットのパックを買うためには、NBAトップ・ショットでアカウントを開設し、ダッパー(Dapper)ウォレットを作成し、ステーブルコインのUSDC、あるいはサポートされている法定通貨を入れておく必要がある。
カードパックドロップが発表されるのを待つ必要もあり、完売する前に手に入れられるかどうかは運次第だ。
買い手にレアなNFTを販売する方法として、「パック」や「アートドロップ」はますます一般的になってきている。このようなドロップでは通常、NFTを購入するチャンスを逃さないために、事前にユーザーがサインアップし、アカウントに資金を入れておく必要がある。
パックやアートドロップは数秒で終了してしまうこともあるので、事前にすべての準備を整えておく必要があるだろう。
NFTの購入場所
NFTの購入を考えている暗号資産トレーダー向けに、2021年に人気の高いマーケットプレースのリストを以下にまとめた。
・OpenSea
・Rarible
・SuperRare
・Nifty Gateway
・Foundation
・Axie Marketplace
・BakerySwap
・NFT ShowRoom
・VIV3
いまNFTの世界に入るべきか?
NFTブームはまだまだ終わらない。総合格闘技団体の「UFC」やシンガーソングライターのショーン・メンデスなど、主要なブランドや有名人たちが、独自のNFTを間もなくリリースするための契約を結び、イーロン・マスクのガールフレンドのグライムスさえも流行に乗っかって、数分で約600万ドル(約6億5400万円)相当のデジタル作品を売った。
多くのアーティストやバンド、有名人たちが独自のトークンを作ろうとこの分野に群がっている。2021年末までにはNFT市場は13億ドル(約1418億円)を超える規模になると、データサイトのメッサーリ(Messari)のアナリスト、メイソン・ナイストロム(Mason Nystrom)氏は予測している。
より良いNFTサービスをプロデュースしようと、より多くのブロックチェーンが競い合い、ますます様々なプラットフォームを選べる中、今はこの分野に参加するのに絶好の時であると言える。
|翻訳:山口晶子
|編集:佐藤茂
|画像:Jonathan Moscrop/Getty Images
|原文:NFTs: How To Create, Buy and Sell Them
参照:Coindesk Japanより